ユーロ圏景気は当面足踏みも腰折れのリスクは限られる
ユーロ圏では、2018年7~9月期と10~12月期の実質GDP成長率がいずれも前期比年率で1%を下回る低成長となった。①昨年9月のEUによる燃費規制強化に自動車メーカーの対応が遅れたこと、②圏内外で企業の投資活動が慎重化していることが主因であり、特にドイツやイタリアの生産活動に悪影響を及ぼしている。企業に在庫調整圧力が依然残っていることを踏まえると、ユーロ圏の低成長は少なくとも2019年半ばまでは続く可能性が高い。もっとも、(1)独自動車市場に復調の気配が見られること、(2)雇用情勢がなお良好なこと、(3)ECBが出口戦略を慎重に進める姿勢を堅持していることを踏まえると、直ちに景気腰折れに向かう可能性は低い。Brexit問題や対米貿易摩擦の行方に十分な注意が必要ではあるが、それらによるショックを回避できれば、ユーロ圏の成長率は、2019年に一旦1.2%まで低下するが、2020年には潜在成長率並みの1.5%を回復すると予想している。