2019.09.25

米国経済UPDATE:インフレ加速の兆しにより利下げは打ち止めか

足元の米国経済は引き続き底堅く推移している。労働供給力の低下から雇用の増加ペースは減速しているものの、賃金上昇に伴う所得増によって個人消費の拡大が続いている。さらに、こうした内需の堅調さを背景にインフレが加速しつつある。他方、米中貿易摩擦の影響は徐々に拡大しており、企業の生産活動や設備投資を抑制、ISM製造業指数は約3年ぶりに50を下回り、先行き不透明感も高まっている。

こうした堅調な内需と、製造業の下振れと先行き不透明感の高まりの中、FRB9月に2回連続となる利下げを実施。ただし、同時に発表された見通しではFOMC参加者の間で今後の金融政策に関して足並みが揃っておらず、利下げ一辺倒の雰囲気ではないことがうかがえる。金融市場参加者の利下げ期待が低下する中、堅調な内需とインフレ加速の兆しにより、FRBの政策余地が拡大。大きなリスクが発現しない限り、利下げは9月実施分で打ち止めとなるだろう。

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