2019.09.26

ユーロ圏:当面低成長も、2020年以降の持ち直しは展望可能

4~6月期の実質GDP成長率は、英国向けをはじめとした輸出の減少が響き、前期比年率0.8%にとどまった。2019年後半も、鉱工業の在庫調整を主因とした低成長が続くと見込まれる。もっとも、①サービス業の雇用意欲がなお旺盛なこと、②ECBによる大規模な金融緩和が続くことなど、景気底割れを回避できる状況は維持されている。7、8月に頭打ちとなった鉱工業の在庫過剰感がこのまま緩和されていけば、また、Brexitや対米貿易摩擦に起因するショックが加わらなければ、ユーロ圏経済は徐々に成長ペースを取り戻していく見通しである。こうしたメインシナリオにおける通年の成長率は、2019年に一旦1.1%まで低下するが、2020年には潜在成長率並みの1.4%を回復し、さらに2021年には1.7%まで上昇すると予想している。

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上席主任研究員 石川 誠

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