2019.10.29
サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けて(9/14)、一時、世界の原油生産の7%近い生産が停止した。サウジアラビアは、世界一武器を輸入する国ながら、攻撃を防ぐことができなかった。加えて、米国に守ってもらえないのではないかというサウジアラビアの危機感は、イランに対する姿勢を軟化させ、イランとの対話の扉を開きつつある。一方、シリア北東部では、米軍の撤退を受けて、トルコ軍が侵攻した(10/9)。米国の後ろ盾を失ったシリアの反政府クルド勢力は、アサド政権と協力せざるを得ない状況となり、アサド政権はクルド勢力が実効支配してきた北東部の奪還に道筋をつけ始めた。米国およびロシアの仲介で、トルコ軍のシリア侵攻は一時的に停止しているが、当事国シリアの主張は反映されていないため、このまま事態収束に向かうことは難しいと考えられる。また、イスラム国が再び台頭する懸念もあり、シリア情勢は引き続き不安定な状態が続くと考えられる。