2020.02.25
2019年10-12月期の実質GDP成長率(1次速報)は、個人消費の増勢が鈍化し、在庫投資の落ち込みが見られた一方、輸入が大幅減となった結果全体の成長率は巡航速度を保った。今後に関しては、雇用・所得環境の改善、FRBによる緩和的な金融政策のもとで、個人消費が増勢を取り戻していく展開が予想される。また、中国との「第1段階の合意」により、輸出の伸びも強まる見込み。さらに、企業の在庫調整圧力は総じて高まっておらず、10-12月期の在庫投資の落ち込みも一時的な動きと見られることを踏まえると、2020年前半の米国経済は内外需の両輪がかみ合う形で回復傾向を強める見通し(従来シナリオを維持[1])。
これに対し、新型コロナウィルスによる景気下振れリスクが浮上。1~3月期中の混乱収束を前提にすれば、米国景気への影響は限られると現時点では見ているが、混乱が広がり長引くほど、世界経済の減速や金融市場の波乱などを通じて、米国でも内需・外需の双方が下振れする可能性が高まるため、事態の推移を慎重に見ていく必要がある。