2020.04.30
欧州では、各国の外出禁止・入国制限・操業停止措置が寄与し、4月下旬にかけて新型コロナの感染拡大ペースが総じて鈍化している。しかし一方で、企業活動の減退、サプライチェーンの機能低下、企業・家計のマインド悪化が相乗的に進んでおり、今年前半の経済活動は大幅な落ち込みが見込まれる。さらに、域外経済や雇用・所得環境の悪化も踏まえると、「感染第2波を回避」「外出禁止は夏場に概ね解禁」「大規模な金融緩和と財政出動」などを織り込んでも、欧州経済は“深いU字コース”を辿るであろう。ユーロ圏の成長率は2020年に▲7.0%まで低下し、2021年は7.6%までリバウンドすると予想する。また、英国の成長率もユーロ圏と同程度と現時点では予想しているが、Brexit問題が別途波乱を招く可能性に注意を要する。将来関係交渉に1ヵ月の空白期間ができたにもかかわらず、ジョンソン政権は「移行期間は2020年末まで」との制約の修正に動いていない。交渉が時間切れとなり、Hard Brexitに至るリスクは高まる方向にある。