2020.05.28

欧州経済:2020年の英国経済は二桁マイナス成長が視野に

欧州では、新型コロナ感染が峠を越え、各国で外出禁止・営業停止措置の段階的解除が進んでいる。しかし、ユーロ圏・英国ともに1~3月期の実質GDP成長率はマイナスとなり、4~6月期の成長率も一段の悪化が避けられない。特に英国では、大陸側に比べ感染の封じ込めがもう一息で、外出制限緩和にも約1ヵ月の遅れが出ている。そのため、4~6月期の急激な落ち込みに加え、7~9月期以降の景気持ち直しペースもユーロ圏より緩慢となろう。2020年通年のGDPが1割超の減少となっても不思議ではない。さらに、英国については、Brexit問題が別途波乱を招く可能性にも注意を要する。英・EUの将来関係交渉が難航しているが、この6月中に「交渉の大筋合意」も「移行期間の延長合意」もできず、さらに「離脱協定に基づくスケジュールの改定」にも動かなければ、2021年初にHard Brexitに至ることになる。こうしたリスクを回避できるのかどうか、6月前半が大きなヤマ場となる。

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上席主任研究員 石川 誠

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