2020.12.24
米大統領選挙は、選挙人投票を終え、バイデン氏の次期大統領就任がほぼ確定した。一方、議会選挙は、下院で民主党が多数派を維持したものの、一部未確定の上院では共和党が引き続き過半数を得る公算が大きい。バイデン次期政権は、「ねじれ議会」のもとでの共和党への配慮のほか、民主党内の中道派と急進左派の対立を抑えながらの難しい舵取りが求められている。気候変動対策や増税など、選挙中に掲げた多くの公約は、摺り合わせの過程で一部撤回や規模縮小を余儀なくされよう。
米国ではコロナ第3波の拡大局面が続いている。情報関連を中心とした設備投資の増加が見られるものの、年末にかけての景気回復の足取りは重い。こうした中、12月下旬の土壇場に追加経済対策が議会を通過し、失業保険の追加給付などが継続されるほか、新たに家計への現金給付が実施されることになった。また、コロナワクチンの接種も始まった。従って、2021年入り後は、ワクチンの普及が進んで感染が抑え込まれていくことや、現金給付策の効果発現などにより、再び景気回復ペースが強まっていく見通しである。実質GDP成長率は2020年に▲3.8%まで落ち込んだ後、2021年は+3.2%へと上昇すると予想する。なお、バイデン政権の新政策は主に2022年以降の成長に反映される見通しであるが、「ねじれ議会」の中では選挙公約からの一部縮小を余儀なくされよう。追加経済対策の効果一巡も加味すると、2022年の成長率は+2.6%に鈍化すると見る。