2021.12.22

米国経済:FRBが金融緩和の出口戦略を前倒し

米国では、オミクロン株の流行もあってコロナ感染が再拡大し、人々の外出機会の回復やコロナ禍で離職した労働者の復職が阻害されている。インフレの根因である人手不足が長引く恐れが出てきたため、FRBは「高インフレ定着のリスクが高まった」との認識に改めた上で、来年3月にテーパリングを終了、4~6月期から前倒しで利上げを進める方針に大きく舵を切った。もっとも、FOMCで示した「2022年内に3回の利上げ」であれば、景気の腰折れを招くほどの逆風にはならないだろう。今後の米国経済については、「ワクチン接種加速などによりコロナが人流を抑える状況は春までに収束」との想定のもと、①外出機会の回復と潤沢な家計貯蓄を背景に、個人消費がサービス分野を中心に拡大する、②労働者の復職が進み、企業の人手不足も解消に向かう、③供給制約の緩和に伴い、企業が在庫復元のための増産を進める、といった展開が期待される。通年の成長率は2022年+4.3%、2023年+2.2%と予想する。

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