2022.03.28

米国経済:ウクライナ情勢、利上げ加速が逆風となるが回復基調は維持 (経済見通しの再改定)

ウクライナ情勢悪化による米国経済への主な影響は、①原油など資源価格の一段高による高インフレの長期化および実質家計所得の下振れ、②物価の先行き不透明感の強まりに伴う消費者マインドの慎重化であり、これらが2022年を中心に成長ペースを抑制することが懸念される。また、ウクライナ情勢はFRBの政策金利見通しが大幅に上方修正された大きな要因の一つでもある。もっとも、米国とロシアの貿易関係は薄いため、ロシアへの金融・経済制裁による輸出入や供給網への直接的な影響は限定的と考えられる。従って、ウクライナ情勢は米国経済の基調を変えるほどの要因とはならず、成長率の下振れも小幅にとどまると予想する。国内事情に目を転じれば、コロナ感染が縮小し、人々の外出行動や復職の動きが増えてきている。潤沢な家計貯蓄が高インフレと利上げの影響を吸収し、当面の景気拡大を支えるというシナリオの蓋然性は依然として高いと見る。2022年の成長率は+3.6%を確保できるだろう。

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