2022.04.27

2%達成可能性を高めるインフレ期待の上昇

足もとで加速する消費者物価の上昇はコストプッシュ型インフレであり、日銀の目標である「2%程度の安定的なインフレ率」を達成するには、需給ギャップの改善や、インフレ期待の上昇が重要となる。コアコア消費者物価を需給ギャップやインフレ期待、過去の物価動向(慣性効果)で説明する関数(ハイブリッド型フィリップス曲線)を推計すると、物価はインフレ期待の影響を最も強く受け、過去の物価動向の影響も大きいことが示された。足もとの物価上昇が長期化しつつある中で、企業がコスト増の価格転嫁を進めれば、将来の物価は上昇するとの期待(予想)が広く共有されるようになり、インフレ期待が上昇すると見込まれる。そして、慣性効果による物価の押し上げや景気の回復に伴う需給ギャップの改善も加われば、日銀が目標とする「安定的な」2%の実現可能性が高まってくるだろう。

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副主任研究員 中浜 萌

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