2023.05.29

米国経済:「減速しつつも腰折れせず」のシナリオ維持(改定見通し)

米国経済は、住宅市場と企業マインドが低迷する一方、個人消費が堅調さを保ち、全体として底堅い状況が続いている。ただ、銀行の貸出態度は一段と慎重化し、企業と家計の資金調達環境は悪化している。企業の設備投資は、景気鈍化懸念も背景に年央には減少に転じ、個人消費は、リベンジ需要の一巡などにより次第に減速する見通しである。2023年後半の実質GDP成長率(前期比年率)は+0%程度に落ち込み、本格的な景気回復は、FRBが利下げを開始する可能性が高い2024年以降となるだろう。当社は、景気の停滞色が強まる中でも、家計の健全なバランスシートと底堅い雇用情勢が支えとなることで、個人消費の大幅悪化は見込まず、景気が腰折れする「ハードランディング」を予想していない。ただ、過度な金融引き締めが信用収縮を強め、金融市場の混乱なども伴って、景気が冷え込むリスクには引き続き注意が必要だろう。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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