2023.06.27
米国経済は、個人消費が底堅さを保ち、バイデン政権の各種産業政策によって、製造業の建設投資の増勢も続いている。しかしながら、先行きの景気鈍化懸念に加え、厳しい資金調達環境などを背景に、企業マインドの悪化は非製造業まで及んでいる。賃金の伸びが抑制され、コロナ禍で蓄えられた家計貯蓄による下支えも弱まることで、個人消費は年後半には減速するだろう。7月FOMCでは0.25%Ptの利上げが実施される可能性が高いものの、8月以降は景気減速が進むことで追加利上げの必要性は薄れていくと見込む。こうした中、FRBの特別融資スキームの利用額は緩やかな増加が続いており、一部の銀行で流動性不安が燻っている可能性がある。過度な金融引き締めが銀行の貸し渋りを招いた場合、各種融資・ローンの不良債権化が進むことも相まって、経済全体の資金供給の減少が加速する状況につながることは引き続きリスクである。