2023.11.24

米国経済:インフレ鈍化が着実に進み、景気鈍化の動きも散見

米国経済は、10月以降、個人消費、住宅市場、企業のマインドや生産動向など、幅広く景気鈍化の動きが確認される。夏場の過熱気味の需要増からの反動減に加え、自動車大手のストライキが寄与したとみられるが、それらの影響を除いても景気の増勢は弱いと考えられる。今後も、①雇用情勢の悪化による可処分所得の伸び鈍化、②家計や企業の厳しい資金調達環境などにより、景気減速が続くだろう。ただし、雇用情勢の悪化は緩やかで、消費性向に影響する家計資産の価値下落も軽微にとどまることから、米国経済の柱である個人消費の腰折れは避けられると見込む。こうした中、物価は、財(モノ)とサービスのいずれも、伸びの鈍化が着実に進む。FRBは、高インフレが長期化するリスクへの警戒感を維持するが、ソフトランディング実現のため、過度な金融引き締めリスクとのバランスを取る姿勢を強めていくと予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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