2023.12.22

米国経済:インフレ懸念和らぎ、FRBの景気重視強まる(改定見通し)

米国の11月の物価動向は、コアCPIの前年比が横ばいとなったが、企業間の価格変動を示すPPIやサービス価格に影響するサービス業の賃金の伸びが鈍化するなど、インフレ鈍化の着実な進捗が窺える。こうした中、FRBはインフレ抑制に自信を深めているとみられ、12FOMCでは利上げの打ち止めを示唆するとともに、経済と物価のリスクのバランスを取って金融政策を進めることを改めて強調した。米国経済は、2024年前半にかけて、個人消費が雇用情勢の悪化などにより減速し、設備投資は、厳しい資金調達環境の影響が顕在化して減少に向かうことが見込まれる。一方、FRBがインフレ指標として重視するコアPCEデフレーターは、年央までに前年比で+2%台となることが視野に入り、5月には利下げが開始されると予想する。2024年後半には、利下げを受けて資金調達環境と企業マインドが改善するほか、雇用情勢も好転することで、国内需要が持ち直し、実質GDP成長率(前期比年率)は巡航速度である2%程度に向けて伸びを高めていく見通しである。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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