2024.01.25

米国経済:景気底堅く、先行きのインフレ再燃懸念くすぶる

昨年1012月期の米国経済は、ガソリン価格の下落や金利低下を受けた株高を背景に、個人消費の増勢が続き、実質GDPは前期比年率で+2%程度の底堅い伸びとなったとみられる。また、足元では、雇用情勢の悪化に一服感が窺える。こうした中、インフレ鈍化は着実に進んでいるものの、底堅い景気による先行きのインフレ再燃の懸念がくすぶり、FRBからも、利下げは慎重に進めるべきとの情報発信が増えつつある。当社は、この先、雇用情勢が緩やかに悪化するもとで個人消費は減速し、設備投資などに対する金融引き締めの影響が強まることで、今年前半の経済成長率は+1%程度まで鈍化することをメインシナリオとしている。しかしながら、インフレ再燃懸念が払しょくしきれない状況が続いた場合は、金融引き締めが必要以上に長期化し、先行きの景気が犠牲となるリスクが増すことには注意が必要だろう。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

執筆者紹介ページを表示