2024.02.26

米国経済:需要に過熱感、インフレ率は下げ渋り(改定見通し)

米国の個人消費は、昨年1012月期に堅調に増加し、今年入り後も、良好な雇用情勢を背景に底堅さを維持しているとみられる。昨年まで着実に進捗してきた需給緩和の動きには足元で一服感があり、インフレ率が下げ渋る様子が窺える。こうした状況を受けて、金融市場ではFRBの早期利下げ期待が弱まり、長期金利が上昇するなど金融環境が再び引き締まりつつある。先行きは、個人消費が、①インフレ率の下げ渋りによる実質賃金の伸び鈍化、②金利上昇を背景とした株価伸び悩みによる消費意欲の減退から、増勢が弱まることとなろう。また、設備投資も、金融引き締めを受けた企業の資金調達環境悪化の影響により、停滞すると見込む。年央にかけて、実質GDP成長率が前期比年率で+1%程度と潜在成長率を下回るペースまで鈍化し、再び需給緩和が進むと予想する。一方、インフレ再燃懸念が払拭しきれない現状が、FRBの金融引き締めの過度な長期化を招くことで、先行きの景気が犠牲となるリスクが増していることにも注意が必要だろう。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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