2024.04.24

米国経済:インフレ下げ渋り懸念が一段と強まる

米国の景気は個人消費を中心に底堅く、雇用情勢も良好さを維持している。13月期の実質GDP成長率は、巡航速度とされる+2%程度を上回ることが予想され、過熱感のある国内需要を背景に、インフレ率が下げ渋る状況が続いている。ただし、企業面では、低迷が続いてきた製造業は底打ちの兆しがあるものの、サービス業の景況感は引き続き悪化方向にあり、ベージュブックでも企業が価格転嫁に苦慮している姿が示されている。こうした中、FRBは、早期の利下げ開始に対する後ろ向き姿勢を強め、金融市場では長期金利が上昇して株価に対する下押し圧力が強まった。この先は、雇用情勢の緩やかな悪化とインフレ下げ渋りから実質可処分所得の伸び悩みが続き、軟調な株価を受けた消費意欲の減退なども加わって、個人消費は緩やかに減速すると見通す。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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