2024.08.26

米国経済:雇用情勢に陰り、9月利下げ開始で景気下支えへ(改定見通し)

7月の雇用統計は、労働需要の伸びが大幅に落ち込むなど、雇用情勢の悪化方向への転換が示唆された。7月の小売り売上高は堅調で、個人消費は依然底堅い状況にあるが、先行きは所得の伸び悩みが消費の増勢鈍化につながると考えられる。一方で、インフレ率は引き続き低下基調にあり、インフレ再燃懸念は大幅に低下している。そのため、FRBは景気を重視する姿勢を急速に強め、9FOMCでの利下げ開始はほぼ確実となった。金融市場では、既にFRBによる9月以降の利下げを織り込み、長期金利は水準を切り下げている。実質GDP成長率(前期比年率)は、秋にかけて一旦+1%台半ばまで落ち込むものの、金利低下が景気を下支えするよう働き、年末にかけては潜在成長率とされる+2%にむけて伸びを高めていくと予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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