2024.12.23

米国経済:消費堅調で再来するインフレ下げ渋り(改定見通し)

米国経済は、11月も堅調な個人消費がけん引する状況が続いた。この背景には、底堅い雇用情勢と大統領選後の株価上昇を受けて、消費意欲が高まったことがある。また、自動車等には、①10月にかけて襲来した大型ハリケーン被害に伴う買い替え需要、②トランプ次期政権による関税引き上げ実施を見据えた駆け込み需要が生じた可能性がある。一方、インフレ率は、財(モノ)とサービスともに下げ渋りが確認されている。こうした経済・物価情勢を背景に、121718日のFOMCでは、「政策金利は大幅に引き締め的なものではなくなった」として、この先の利下げに慎重な姿勢が示された。金利上昇とそれに伴う株価の調整により、経済には下押し圧力がかかることとなろう。今後は、可処分所得の伸び鈍化により、個人消費の増勢は弱まり、景気は緩やかに減速することが見込まれる。2025年半ば以降は、トランプ政策の影響が本格化すると予想するが、関税引き上げの実施時期などを巡る不確実性は高く、金融政策の混乱含めリスクは大きい。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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