2025.01.27

米国経済:景気は堅調さを維持も、労働供給に鈍化の兆し

米国経済は引き続き堅調に推移している。昨年12月の個人消費は、大型ハリケーン襲来後の買い替え需要等が弱まる中でも、底堅い雇用情勢に支えられて増勢を維持した。また、企業の設備投資は、減速方向ながらもソフトウェア投資が全体を支えているとみられる。昨年1012月期の実質GDP成長率(前期比年率)は、個人消費を中心とした国内需要にけん引されて、巡航速度とされる+2%程度を超える見込みである。また、インフレ率は昨年11月にかけて下げ渋ったものの、12月は再び低下基調が確認され、米国経済がソフトランディングに向かう動きは崩れていない。ただし、外国人労働者の増加ペースは鈍っており、雇用者数の伸び鈍化につながる可能性がある。先行きは、個人消費に対する雇用・所得面の支えが弱まり、緩やかな景気減速が続くと見込む。当面のリスクは、株価の調整などをきっかけに、消費マインドが悪化し始めることであろう。まずは、関税引き上げ策を中心としたトランプ政権の政策不確実性が、金融市場に及ぼす影響について注視される。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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