2025.02.25

米国経済:個人消費に減速感、トランプ関税を巡る不透明感が懸念

米国経済の柱である個人消費に減速感がある。関税引き上げを警戒した昨年末にかけての駆け込み消費からの反動減の可能性があるほか、株価の伸び悩みやインフレ下げ渋りによる消費者マインドの悪化が影響していると考えられる。この先は、雇用情勢が徐々に冷え込むもとで、個人消費は減速が続くことが見込まれる。こうした中、トランプ新政権は関税政策を巡る動きを活発化している。現時点で発動済みの10%の対中追加関税の影響だけであれば、底堅さを保つ米国経済は十分吸収可能と考えられる。しかしながら、トランプ氏はその他にも複数の関税引き上げ策を示しており、米国の産業界はトランプ関税の影響を受けることへの不安を強めているとみられる。関税引き上げが発動された場合の米国経済への直接的な影響に加え、政策不透明感の強まりによる企業の投資意欲の減退や金融市場の混乱が懸念される。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

執筆者紹介ページを表示