2025.03.28

欧州経済:トランプ関税に翻弄される欧州

ユーロ圏では、米国との貿易摩擦の影響が早くも顕在化。貿易戦争への懸念が消費者マインドを押し下げた影響で、これまで景気をけん引して来たサービス業の回復ペースに鈍化の兆し。一方で低迷が続いてきた製造業の景況感は改善傾向にあるが、関税引き上げ前の駆け込み需要が影響しているとみられ、その持続性には疑問符。仮に米国がEUからの輸入品に対する関税を25%に引き上げた場合、EUの対米実質輸出は▲17.9%減少し、EU全体で90万人以上の失業が発生するおそれ。
ECBは、3月の理事会で5会合連続となる0.25%ptの利下げを決定。先行きは、政策金利が中立水準に近付いたことや米国の関税政策を巡る不確実性の高まりを背景に、利下げ一時停止の可能性を示唆。
英国では、製造業の低迷が長期化。社会保障負担の増加や関税を巡る不確実性が、先行きも景気の足かせに。BOEは3月のMPCで政策金利の据え置きを決定。景気の停滞感が続くなか、BOEは今後もインフレ警戒姿勢を維持しつつ緩やかなペースで利下げを進めていくと予想。

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副主任研究員 高野 蒼太

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