2025.04.22
トランプ政権の対中追加関税と中国による報復関税が過熱し、米中が互いに課す追加関税率は一部品目を除き100%を超えた。まさに、両国の貿易が途絶しかねない事態である。また、トランプ政権は、その他にも、世界共通の追加関税や自動車など商品別の追加関税など数多く発動し、米国の平均関税率は歴史的な高水準に達した。この状況が続けば、インフレ率はこれまでの当社予想から1.5%pt程度押し上げられる試算となる。既に減速基調にある個人消費を一段と下押ししていくこととなろう。また、企業の設備投資は、資本財の追加関税前の駆け込み輸入とその剥落などで振幅が大きくなるが、①追加関税によるコスト上昇、②景気悪化懸念と政策不透明感から、悪化することが見込まれる。先行きの景気は、米国と中国など各国との関税交渉の進捗に大きく依存する。数か月後に米中による関税合戦前の関税率に戻ることを前提とすれば、米国の2025年の成長率は1%台前半を維持すると予想するが、不確実性は極めて高い。