2025.05.22
4月上旬に勃発した米中関税引き上げ合戦は、5月12日に一時休戦することが決まった。財(モノ)不足などが生じ、米国経済が急激に悪化する懸念は和らいだ。4月までの米国経済は、トランプ関税の影響本格化を前にして、減速方向にある中でも底堅さを見せた。もっとも、家計や企業のセンチメントは依然として弱く、関税引き上げ分の価格転嫁が進むにつれて、国内需要は下押しされることが見込まれる。FRBは、依然として不確実性が大きいトランプ関税に対して、その動向と経済・物価への影響を見極めるために様子見姿勢を強めている。利下げ再開による景気下支えは夏場以降になる可能性が高い。また、秋までには追加減税が成立する可能性があるが、関税引き上げによる景気下押しを相殺するには力不足と見込まれる。今年の後半にかけて景気減速が進み、米国の実質GDP成長率(前年比)は、2025年が+1.4%、2026年が+1.6%と予想する。