2025.05.27

欧州経済:対米関係に左右される状況が続く

ユーロ圏経済は、トランプ米大統領による関税引き上げ前の駆け込み需要の影響で、第1四半期にかけて輸出が急増し、生産活動も活発化した。しかし、4月以降は、駆け込み需要の反動減に加え、実際に関税が引き上げられたことによる影響で米国向けを中心に輸出は伸び悩む公算が大きい。また、関税引き上げによる直接的な影響に加えて、対米関係における不確実性の上昇も景気の重石となろう。
英国では、米英貿易協定によって自動車を中心に一部の産業は恩恵を受けるものの、経済全体でみた景気押し上げ効果は限定的である。ユーロ圏と同様に、米国向け輸出の駆け込み需要が1~3月期の景気加速をもたらしたが、関税引き上げ後は伸び悩む可能性が高い。足元では、関税の影響に加えて英国特有のコスト上昇が企業活動の重石となり、景況感は振るわない。こうしたなか、BOEは関税の影響や物価動向を注視しつつ、今後も緩やかなペースでの利下げを継続すると予想する。

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副主任研究員 高野 蒼太

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