2025.06.24

米国経済:物価は無風状態続くも、トランプ関税の企業負担が増加

米国経済は、相互関税発動前に蓄積された在庫の販売が続けられているとみられ、物価や雇用へのトランプ関税の影響は目立たない状況が続く。そのため、個人消費を中心とした国内需要は、比較的底堅い状況を維持している。一方、トランプ関税は、相互関税を巡る各国との交渉が膠着する一方、商品別関税は鉄鋼・アルミ製品が引き上げられた。引き続き不確実性が残り、企業の景況感は冷え込みが長期化している。また、トランプ関税の支払い負担は既に米国企業にのしかかっており、企業はこの先、雇用コストなどを削減するか、価格転嫁するかの判断に迫られていると考えられる。財(モノ)の販売の前面に立つ小売業のコスト削減余地も限られることから、まずは、輸入消費財の関税引き上げの相当分が夏場に価格転嫁されていくと予想する。インフレ圧力が強まり、実質可処分所得が押し下げられることから、個人消費が下押しされることとなろう。今年半は、米国の巡航速度である+2%を大幅に下回る成長率になると見込む。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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