2025.06.24

欧州経済:関税引き上げ前の駆け込み需要が剥落

ユーロ圏では、良好な雇用・所得環境を背景に個人消費が底堅さを保つ一方、関税引き上げ前の駆け込み需要の剥落によって景気が減速している。4月は米国向けの減速を主因に域外向け名目輸出が前年比でマイナスに転じ、生産活動も鈍化した。発動が延期されている相互関税の上乗せ分の交渉期限が迫るなか、米EU間での交渉に目立った進展はみられず、予断を許さない状況が続いている。
ECBは、6月の理事会で7会合連続となる利下げを決定した。一方、ラガルド総裁は利下げサイクルの終わりが近いことを示唆。次回の7月会合では利下げを一時停止し、政策金利を据え置くと予想する。
英国でも、米国向け輸出の急減によって景気が減速している。加えて、4月からの最低賃金の引き上げや保険料負担の増加によるコスト上昇も企業の重石となっている。BOEは減速する景気の下支えと下げ渋るインフレへの警戒との間で難しい舵取りを迫られている。

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副主任研究員 高野 蒼太

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