2025.07.18
トランプ関税の米インフレへの波及はまだ本格化していないが、足もとの物価関連指標からはその兆しが確認されている。6月消費者物価では、関税引き上げの影響を受ける輸入消費財のシェアが大きい家具・家電等の価格が加速し、財(モノ)価格を押し上げた。自動車などの価格の伸びは現時点では抑制されているが、輸入自動車の関税分の価格転嫁が始まれば、財価格は加速することが見込まれる。また、輸入中間財の価格上昇を通じたインフレ圧力も強まっている。米国内生産の価格動向を示す6月の生産者物価は、サービス価格を含めた全体では伸びが縮小したものの、財価格の伸び拡大は続いた。国内生産の財価格は、生産過程で投入される輸入中間財の価格がトランプ関税によって押し上げられているとみられ、過去のトレンドを超えた上昇を続けている。この先は、トランプ関税の影響で価格が上昇した国内生産物が店頭に並ぶことで、消費者物価が押し上げられていくこととなろう。