2025.07.25
米国と各国・地域との関税交渉の進捗期待が高まり、トランプ関税を巡る不確実性が低下している。このため、株価の上昇も相まって、消費者や企業の景況感は改善することが見込まれる。もっとも、実体経済に対しては、発動済みのトランプ関税の悪影響が次第に広がりを見せている。個人消費は財(モノ)とサービスともに増勢が弱まり、住宅投資は金利の高止まりも背景に低迷が続いている。また、雇用情勢は、民間企業の労働需要に陰りがある。物価は、トランプ関税の影響が本格化していないものの、家具や家電など輸入シェアが大きい一部財で価格が明確に押し上げられている。夏場以降も輸入企業の価格転嫁が進むことで、インフレ率は加速し、実質可処分所得が目減りして個人消費は下押しされることとなろう。今年後半は、前期比年率で、2%を大幅に下回る成長率と、2%を大幅に上回るインフレ率が並走することが予想される。そうした中、FRBは、トランプ関税の影響を見極めるとして、7月FOMCでは金利を据え置くことが濃厚だが、秋以降は景気悪化とインフレ加速に同時に対応するために、緩やかなペースでの利下げを再開すると予想する。