2025.11.25

米国経済:資産効果弱まり、個人消費は増勢鈍化へ

個人消費について、小売・外食売上高と同様の動きをするシカゴ連銀小売指数は、10月は底堅く増加したものの、軟調であった9月を補うほどの勢いはなかった。労働市場の減速が続くもとで、株価上昇鈍化による資産効果の弱まりが影響していると考えられる。来春ごろまではトランプ関税によるインフレ圧力が残存し、実質ベースの所得を押し下げることから、個人消費の減速が続く見込みである。こうした中、FRB高官の一部からは、政府閉鎖に伴う経済統計の公表遅延で雇用情勢などが把握し難いことなどを理由に、12FOMCでの利下げに対して慎重な情報発信がなされた。12月利下げの要否を巡る合意形成が難しく、反対票が出る可能性がある。景気に対するリスクについては、政府閉鎖の年末商戦への悪影響と米中対立激化のいずれも回避したものの、今年末にオバマケア補助金が打ち切られる公算が大きい。保険料負担が大幅に増加し、個人消費を下押しする懸念があり注意が必要である。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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