2025.12.22

米国経済:雇用悪化が景気を下押しする局面へ(改定見通し)

米国経済は、失業率が20219月以来となる4.6%まで上昇するなど、労働市場の冷え込みが続いている。米国景気の柱である個人消費は、こうした雇用・所得環境の悪化に加え、株価の伸び悩みによる資産効果の剥落も相まって、増勢が鈍化しつつある。他方で、11月の消費者物価は伸びが鈍化したものの、10月から11月中旬にかけての政府閉鎖の影響でデータに歪みが生じている可能性が高く、楽観視できない状況が続く。そうした中、FRBは雇用情勢の悪化リスクを背景に、12FOMCでも予防的利下げを継続した。もっとも、インフレリスクを重視するFRB高官からは追加利下げへの慎重姿勢が示されており、この先の利下げペースは緩やかになることが見込まれる。先行きの景気は、2026年春ごろにかけて減速基調を辿る見通しである。その後は、①トランプ関税の影響一巡、②累積的な利下げの影響、③トランプ減税効果の本格化により、景気は回復に向かうと予想する。2026年のリスクとしては、11月の中間選挙を見据えて過度な景気浮揚策が実施されることによるインフレ再燃、米中関税交渉難航に伴う政策不確実性の高まりを挙げたい。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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