2021.03.25

ベトナム経済:旧正月前後は回復が足踏み、その後は内外需揃って加速

ベトナム経済は、新型コロナ感染再拡大から、2021年2月のテト(旧正月)前後には、個人消費を中心に回復が一旦足踏みした。ただ、感染拡大は既に収束に向かい、消費者のマインドも強いとみられる。3月以降は物販が増勢を強め、回復が遅れているサービス消費も、ワクチン接種進捗に伴って正常化に向かうだろう。2021年通年では、拡大を続ける輸出と堅調な固定資産投資も相まって、+6%台後半の成長率で着地すると予想する。中長期的には、国営企業改革の加速が見込まれるもとで、民間の地場企業と外資企業において、製造業の高度化につながる動きが続く。こうした中、中長期のエネルギー政策として、「再生可能エネルギー重視」の方針が示された。しかしながら、増加するエネルギー需要に対する安定供給へのハードルは高いと考えられ、今後、原子力発電導入が改めて検討されるシナリオにも注意を払う必要があろう。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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