2021.05.20
タイの1~3月期の実質GDP成長率は、コロナ感染拡大第2波に見舞われた時期にもかかわらず、財輸出と固定資産投資の持ち直しを主因に前年比でマイナス幅が縮小した。もっとも、4月以降は、過去最悪となるコロナ感染拡大第3波に襲われ、個人消費が一段と抑制される状況にある。先行きは、政府の景気支援策や財輸出と投資の回復が続くことから、景気回復の腰折れはひとまず防がれるが、個人消費の本格的な回復はコロナワクチンがある程度普及する冬場となろう。この結果、2021年の成長率は、前年比で+2%程度にとどまると予想する。こうした中、タイ政府は、投資優遇策の実施などにより、電気自動車(EV)と、食品・医療・観光などを重点産業とする「BCG(バイオ・循環型・グリーン)経済」への注力姿勢を明確にしている。電気自動車については海外企業の競争により産業促進の兆しがうかがえる一方で、地場企業の関与が大きいBCG経済は、コロナ禍やミャンマー情勢などを背景に足元で難しい状況に立たされる分野もあり、早くもその進展が試される局面にある。