2021.06.22

インド経済:秋にはコロナ前の水準回帰、ワクチン国内製造動向を注視

インドでは、4~5月にかけて新型コロナ感染拡大第2波が発生。昨年の全土都市封鎖と比べると緩やかな活動・移動制限の実施となったが、それでも人流は大幅に抑制され、回復基調にあった個人消費は再び低迷した。第2波は既に収束傾向にあることから、今後、個人消費は緩やかに回復に向かい、政府によるインフラ整備と底堅さを維持する企業の設備投資が景気回復を支えるだろう。この間、金融当局による各種施策やバッドバンク構想の進展により、金融環境の悪化には引き続き歯止めが掛かることが期待される。2021年秋にはコロナ前の経済水準に再び回帰し、2021年度(2021年4月~2022年3月)の成長率は、2020年度の落ち込み(前年比▲7.3%)をカバーする、前年比で+9%程度で着地すると見込む。ただし、インド政府の意欲的なコロナワクチン接種計画とそれを支えるワクチンの国内製造動向には不確実性が残り、当面は感染拡大第3波のリスクが残存することには注意が必要である。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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