2021.08.23

インドネシア経済:コロナ感染急拡大は一服、秋以降の景気回復に期待

インドネシアは、デルタ株を中心とした感染急拡大により、6月下旬から7月にかけて個人消費などの経済活動が再び抑制。ただ、足元では感染拡大は一服し、政府も活動・移動制限を緩和し始めている。このまま感染抑制が進むことを前提とすれば、政府による追加経済対策も後押しに、秋ごろには国内需要は回復基調に乗るだろう。この間、堅調な輸出は、景気を支えつつ、経常収支バランス改善によって通貨安懸念の緩和にも寄与している。この結果、今回の感染拡大で景気回復は後ずれしたものの、10~12月期には回復ペースを速め、2021年の成長率は+3.8%程度で着地すると予想する。しかしながら、インドネシアのワクチン接種率はまだ低く、同国が多く用いる中国製ワクチンの有効性に対する懸念も強い。当面は、ワクチン接種の遅延とそれに伴う感染再拡大リスクが残る中での景気回復が続く。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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