2021.11.24

インドネシア経済:22年前半にかけて成長加速、脱炭素の取り組み注目

インドネシアは、コロナ新規感染者数が急速に減少し、景況感が大幅に改善している。コロナ感染拡大がこのまま抑制されるという前提のもと、人手の増加と大幅に改善した消費者マインドにより、個人消費は、耐久消費財やサービスなどの繰越需要を伴った本格的な回復基調に入るだろう。また、輸出は資源を中心に堅調さを維持、良好な貿易収支バランスなどから、通貨ルピアの下落懸念は和らいでいる。内外需の回復がはっきりすることで、企業の投資意欲も強まるだろう。以上を踏まえると、2021年は+3%台半ばの成長率で着地した後、2022年前半にかけて成長ペースを早め、2022年は+6%程度の高成長となることを見込む。中長期的には、脱炭素をテーマとした政府の取り組みが進み、EV産業に関する海外企業による投資の動きも活発化してきた。インドネシアは、製造過程でCO2を多く発生する石炭などの主要生産国であり脱炭素の実現は容易でないが、海外企業の投資拡大が本格化すれば、産業構造の転換に向けた動きは勢いが出ることが期待される。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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