2021.12.20

タイ経済:オミクロン株を警戒しつつ経済活動最優先の姿勢崩さず

タイは、国内でも感染者が発生したオミクロン株への警戒感を強めつつも、緩和的な入国規制を続けるなど経済活動を最優先する姿勢を維持している。足元では、供給制約が緩和するもとで財輸出は持ち直し、内需改善の兆しも窺える。2022年前半にかけては、輸入物価上昇に伴うインフレ圧力や金融引き締めの可能性に注意が必要だが、財輸出の拡大が景気回復をけん引するだろう。2022年後半からは、コロナ状況が改善し中国の出入国規制が緩和される想定のもと、外国人旅行者数が本格的に増加すると予想。年間の外国人旅行者数が500万人程度となり、インバウンド需要だけでも2022年実質GDP成長率を+1%程度押し上げることを見込む。さらに、インバウンド関連産業やその従事者のマインドの改善につながることで、内需も回復ペースを速めることが期待できる。産業面では、EVを巡ってタイの有力地場企業と海外企業の連携が足元活発化しており、タイの産業構造の転換や高度化を見通すうえで、その動向が注視される。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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