2022.01.26

インド経済:コロナ感染再拡大とインフレ圧力の強まりが重石

インドでは、2021年末以降にコロナの感染が再拡大した。活動・移動制限の強化によって国内の人出は減少しており、景気回復の重石となっている。ただ、感染者は軽症である場合が多く、昨年と比べると国内の混乱は小さいとみられる。消費者マインドへの影響が大きい雇用情勢もさほど悪化しておらず、感染収束に伴って個人消費は回復基調を取り戻すだろう。また、政府による積極的な投資誘致とインフラ投資により、固定資産投資への需要が高まることも期待できる。一方で、需要の高まりと国内外での供給制約、商品価格の上昇が相まって、インフレ圧力が強まりつつある。このため、インド準銀(RBI)は2022年前半にも利上げに踏み切ることとなり、秋口には内需拡大に減速感が出始めると予想する。これらを踏まえると、2022年度(2022年4月~2023年3月)の実質GDP成長率は、年度前半に前年比+10%台半ばまで高まった後、年度後半には+5%程度まで減速し、年度を通じては+8%台後半で着地する見通しである。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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