2022.05.27

米国経済:金利上昇・株価下落が内需を下押しする見込み(改定見通し)

1-3月期の実質GDP成長率は、輸入の大幅増を主因に前期比でマイナス成長となったものの、内需は引き続き堅調であり、経済の底堅さが示された。4月以降も、個人消費は堅調さを維持し、企業の生産も回復し続けている。ただ、FRBによる利上げペースの加速と量的緩和縮小が市場で織り込まれ、長期金利は急上昇し株価も大幅に下落した。今後は、①住宅ローン金利の上昇を通じた住宅投資需要の冷え込み、②逆資産効果を通じた個人消費の拡大抑制が見込まれることなどを踏まえ、2022年の成長率予想を3月時点の+3.6%から+3.1%と下方修正した。雇用情勢に関しては、労働需要が堅調さを保つ一方、4月は労働参加率が幾分低下し、企業マインドも人手不足を背景に悪化した。当社では、感染リスクが低下し、育児に伴う就労阻害も払しょくする中で、人手不足が解消に向かうことを想定するが、回復ペースの不確実性の大きさには引き続き注意が必要であろう。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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