2022.07.27
米国経済は、高インフレと利上げ加速の影響が広がっている。個人消費はサービス消費の回復に支えられながらも、実質家計所得の伸び悩みなどから増加ペースが鈍化し、住宅市場もローン金利の上昇で悪化が続いている。また、設備投資は増加基調を維持するが、財(モノ)消費に対する鈍化懸念と借り入れコストの上昇を背景に、製造業を中心に投資意欲が慎重化しつつあるとみられる。先行きは、潤沢に残る家計貯蓄が個人消費のバッファーとなり続けるが、それでも景気は一層弱まり、2022年内にも米国経済の「巡航速度」を下回る成長率まで低下すると予想する。そうした中、ガソリン価格の高騰などにより6月のインフレ率は加速し、7月のFOMCでも大幅利上げの実施が確実視される。足元ではガソリン価格が低下し始めているが、賃金上昇を価格に転嫁する動きは続き、労働需給ひっ迫の解消が待たれる状況にある。FRBは、インフレ抑制を最優先として利上げを続けることとなるが、一方で、景気悪化が想定以上に加速する懸念もあり、利上げペースに関する難しい判断を迫られる状況が続くだろう。