2023.04.21

日本経済:全国消費者物価(2023年3月) 価格転嫁が進み、基調的な物価「最頻値」は2%台に到達

3月の全国消費者物価は、生鮮食品を除く総合(コア)は前年同月比+3.1%と前月から横ばいとなった一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合(コアコア)は+3.8%に加速し、インフレ圧力の強さが改めて確認された。財やサービスの幅広い分野で価格転嫁が続いていることに加え、リベンジ消費の拡大を受けて宿泊料の値上がりが見られた。また、基調的な物価を表す「最頻値」は、2月に+2.1%と約30年ぶりに2%台に乗せ、物価の上昇基調は一段と高まっていることが示された。植田日銀総裁は、2月の所信表明の質疑応答で、「基調的な物価はまだ2%に少し間がある。もう少し近づいてきて2%の実現が見通せる場合には、金融正常化に向かって踏み出すことが出来る」と回答している。この「基調的な物価」が最頻値で示されるものであれば、今回最頻値が2%に達したことについて、今月末(2728日)に開催される金融政策決定会合後の記者会見で植田総裁がどのように評価するか注目される。

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副主任研究員 中浜 萌

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