2024.06.24

米国経済:堅調な雇用拡大で人手不足緩和、インフレ鈍化へ

5月の消費者物価指数は、幅広い品目で価格の伸びが鈍化し、インフレ沈静化への期待が強まった。これは、堅調な雇用拡大で人手不足が緩和し、サービス業を中心に労働コストが低下していることが背景である。また、良好な雇用情勢は、可処分所得の増加を通じて景気を支えている。ただ、家計の消費意欲は更なる上昇が見込み難く、米国経済の柱である個人消費の増勢は弱まっている。FRBは、金融引き締めが景気を過度に悪化させるリスクを見据え、インフレ動向を注視しつつも、予防的に利下げを開始するタイミングを探ることとなろう。金融政策の自由度確保のため、6FOMCでは早期利下げへの消極姿勢が維持されたが、インフレ鈍化が進捗すれば、9月にも利下げが開始され、年末にかけて景気は押し上げられると見込む。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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