2025.05.08

欧州経済:駆け込み需要による景気加速は一時的(改定見通し)

2025年1~3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比+0.4%と加速し、市場予想を上回る堅調な伸びに。内訳は未公表だが、個人消費の底堅さと関税引き上げ前の駆け込み需要による輸出の増加が主因とみられる。もっとも、今後は駆け込み需要の反動やトランプ関税適用の影響で輸出は伸び悩み、企業の生産活動は低迷する公算大。こうした状況を踏まえ、ユーロ圏経済の2025年の成長率は前年比で+0.9%にとどまると予想。ドイツでは、財政規律の緩和が実質GDPを押し上げることが期待されるが、長期的な成長には生産性向上が不可欠。欧州中央銀行(ECB)は景気下振れリスクへの警戒感を強めており、次回会合でも利下げを継続すると予想。
英国では、ユーロ圏同様に駆け込み需要が景気を一時的に押し上げ。もっとも、米国の関税政策を中心とした不確実性の上昇と、賃金や社会保障負担といったコスト増加の影響で、今春以降の英国経済は企業部門を中心に停滞する見込み。

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副主任研究員 高野 蒼太

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