2019.08.28

中国経済情報2019年8月号 伊藤忠拠点が見た中国経済の現状(2019年7月調査)

伊藤忠総研は7 月、伊藤忠商事の中国各拠点を対象に景況感アンケート調査を実施した。
全体的には、前回(2019 年1 月)の「中立」と「やや良好」という判断が維持されたが、東部の1 省市が「やや良好」から「中立」に、東北部の1 省市が「中立」から「やや悪い」に引き下げられ、景気の悪化が広がりつつあることが確認された。東部は、産業高度化が進展する一方で輸出と自動車産業の不振により景気は減速している。東北部は、これまで「次世代産業」の成長で景気は持ち直しつつあったが、自動車産業の不振により先行き不透明感が増している。西部(重慶市・四川省)は、自動車産業の不振が景気を下押しするも「次世代産業」が景気を下支えしている。
また、すべての地域で景気下押し要因となっている自動車産業は、全体としては悪化しているものの、機能面、生産・販売戦略に優れた日系メーカーは好調である。これは、景気減速の中でも条件や工夫次第で、中国進出企業は中国市場で利益を獲得できる余地が十分あるということを示している。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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