2019.09.27

2021年までの世界経済見通し:米中貿易摩擦がシナリオの分岐点に

世界経済は、2019年に入り減速気味の動き。米国は基本的に行き過ぎた高成長から巡航速度への減速という程度であるが、ユーロ圏は製造業の在庫調整、中国など主要新興国の一部では構造的な問題や貿易摩擦の影響が成長を抑制。今後の世界経済は、米中貿易摩擦の行方によるところが大きいが、両国ともに関税引き上げの応酬が景気後退リスクを高めていることを認識しており、一旦打ち止めとなる可能性は十分にあろう。そうなれば、世界経済は、金融緩和の効果などから欧米は巡航速度程度での景気拡大、日本も消費増税後の一時停滞から徐々に持ち直し、中国も政策的な後押しもあって下げ止まると見込まれ、全体では緩やかな拡大基調を維持しよう。ただし、米中貿易摩擦がさらに激化すれば、米中のみならず、世界のGDPの約4割を占める両国の不振が不透明感の高まりを伴って他国に波及し、世界経済は後退局面に陥る可能性が高まろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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上席主任研究員 石川 誠

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