2019.10.31

中国経済情報2019年10月号

P2中国経済:内需の停滞により成長率は一段と鈍化(79月期GDP

(P8中国人消費の実態~多様化する消費行動とインバウンドへの示唆~

中国の都市部では、インターネットやスマートフォンの普及を背景にEコマース市場が拡大しているが、経済発展レベルによって嗜好や物流インフラ整備状況が異なるため、都市規模別には消費内容に違いがある。特に生活水準が上昇した大都市では質の重視や価値観の多様化を反映した消費行動がみられる。中小都市では伝統的な消費行動が続いているものの、Eコマースの更なる普及と所得増加が進めば、今後は大都市型の消費行動への移行が見込まれる。このような中国人消費の多様化はインバウンド市場の動きにも共通している。中国人の消費需要取り込みには、中国国内・インバウンドいずれの市場でも、大都市と中小都市の消費者の嗜好の違いや変化を把握しながら対応する必要がある。

P19)     伊藤忠中国拠点注目のトピック

  • 国民の健康意識の高まりと政策の後押しで発展するスポーツ産業

中国では都市部を中心にスポーツがブームで、それを支えるスポーツ用品メーカーでも中国系企業の成長が目覚ましい。また、オンラインとオフラインのサービスを融合したフィットネスジムや走り方を矯正するスマートシューズなど、IT技術を駆使した新しいサービスの提供やスポーツ用品の開発の動きもみられている。

  • 長者番付にみる中国の産業構造の変化

9月に発表された長者番付では、ITプラットフォーム企業の経営者が上位を占めたほか、創業して日の浅いユニコーン企業の経営者なども名を連ねた。一方で過去と比較すると、製造業や不動産業のような伝統的産業の経営者の割合は低下するなど、長者番付からは中国の産業構造の変化も垣間見ることができる。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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