2020.01.31

中国経済情報2020年1月号

減速傾向の中でひとまず下げ止まる中国経済(10~12月期GDP)

米中貿易交渉は第1段階について正式に署名、近く第2段階が始まる見通し。関税引き上げ合戦はひとまず休戦し、今後は中国経済の成長持続に必要な先端技術を巡る争いとなろう。10~12月期GDP成長率は前期から横ばいとなり減速に歯止め。通年では6.1%まで減速したが、経済の成熟化を踏まえれば自然なスピード調整であり、今後も安定成長に向けた減速傾向が続こう。

総統選挙直後の台湾と中国の動き

1月11日に実施された台湾の総統選挙では、中国の提唱する「一国二制度」への反対を掲げた蔡英文現総統(民進党)が圧勝した。これは同時に、圧力を柱とした中国の台湾政策の行き詰まりも表している。こうした中で、総統選挙直後に中国政府系メディアが示した「現実」直視の姿勢が、今後中国政府の台湾政策に反映されるのか、注目される。

拡大する中国の食肉市場

中国では、消費者の所得増加によって、食肉市場が拡大している。ただ、伝統的に消費量が多い豚肉については、2018年8月に発生したアフリカ豚コレラの影響で大量の豚が殺処分されたことから、20年にかけて生産量は大幅な減少が見込まれている。そのため、2019年の豚肉輸入は過去最高水準に達し、豚肉以外の食肉(鶏肉や牛肉)の輸入も大幅に増加した。今後は、豚肉の供給減少分を補うために、食肉の輸入は更に拡大すると考えられる。

伊藤忠中国拠点注目のトピック

政府主導で拡大するごみ焼却発電市場

中国の都市部ではごみ処理量の増加を背景に、政府主導でごみ焼却施設の建設が進み、ごみ焼却発電市場も拡大している。政府の重要課題である環境政策であるごみ処理問題は、当面は補助金政策を柱に政府主導での取組が進むとみられるが、長期的には発電効率の向上などにより補助金への依存を減らした産業への成長が期待される。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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