2020.02.27

日本経済情報2020年2月号 改定経済見通し~新型コロナウィルスで視界ゼロ

日本経済は、消費増税直後の10~12月期に前期比▲1.6%(年率▲6.3%)もの大幅なマイナス成長を記録したが、全てが消費増税の影響というわけではない。個人消費は増税のみならず、暖冬や景気の先行き懸念、所得の伸び悩みが大幅な落ち込みにつながった。そのほか、設備投資や輸出も減少し、民間需要は総崩れの様相を呈している。

2月の月例経済報告では景気の「緩やかな回復」という評価が維持されたが、最近の経済指標を見る限り、小売販売は冴えず、設備投資は先行指標がピークアウトを示唆、輸出は弱含みが続いており、景気はひとまず停滞しているとみるべきであろう。

さらに、新型コロナウィルスの感染拡大が中国経済だけでなく、日本を含むアジアへも悪影響が波及、欧米でも株価が急落するなど、世界中で急速に景気が冷え込んでいる。そのため、日本の1~3月期GDPは前期比でマイナス成長が続く可能性が高い。

仮に感染拡大が1~3月期中にピークアウトすれば、4月以降は政府による大規模経済対策が本格的に動き出し、東京五輪に向けて関連需要の盛り上がりや消費者マインドの改善が見込まれるため、日本経済は拡大を再開しよう。ただ、感染拡大が終息に向かう時期は全く見通せず、現在、日本経済は視界ゼロの状態にあると言える。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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