2020.04.27

日本経済情報2020年4月号 改定経済見通し~コロナ・ショック本格化で暗中模索

日本におけるコロナ感染拡大ペースは欧米を遥かに下回り、ピークアウトの兆しも見られてはいるが、予断を許さない状況であることは間違いなく、5月6日に期限を迎える緊急事態宣言は延長が不可避であろう。

景気は、緊急事態宣言以前から輸出の落ち込みや国内消費の抑制により悪化しており、1~3月期も消費増税後の10~12月期に続いて前期比マイナス成長になった模様。さらに2020年度に入り、海外景気の悪化、緊急事態宣言による外出自粛や休業の広がりにより、景気は一段と悪化している。こうした状況を受けて、政府は4月の月例経済報告で景気の現状を「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と判断したが、これは事実上の景気後退宣言と言える。

仮に7~9月期以降、感染拡大が収まり経済が正常化に向かうとしても、感染再拡大への警戒などから回復ペースが緩やかなものにとどまる可能性は十分にある。2020年度の成長率は2%近いマイナス成長となる見通し。消費者物価上昇率は一旦マイナスに逆戻りし、デフレ脱却に向けた動きは大きく後退。2021年度は、東京五輪効果もあり2%超の成長を予想。コロナ後の消費者の行動変化や供給側の対応が、経済や物価の動きを大きく左右することとなろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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